遺言の「鮮度」を保ちましょう。

  • vol.3

まさかが起こる、それが世の中。

先日、移動でバスに乗車した際、左折するはずの交差点をそのバスが直進するという出来事がありました。普段運転し慣れている様子の運転手さんは、あまりの事に非常に動揺されていました。乗客だった私もまさかのことが起きるのだなと思った瞬間でした。
そうです、それが起こるのが世の中なのです。
今回は、この“まさか”を相続という場面で考えてみることにします。
元気だった家族が急に亡くなるということがありますが、これも“まさか”のひとつといえます。最近では、新型コロナウイルス感染症に感染し、連絡が取れないままあっという間に亡くなるということが起こっています。
こういった場面で多く聞かれる声は「どこに何があるかがわからない」という声です。
①通帳、印鑑、保険証券、権利証はどこにあるのか?
②契約IDやパスワードは?
③携帯やパソコンのパスワードは解除できる?

また、「こんなものを持っていたんだ」「こんな契約をしていたんだ」という声も多く聞かれます。
①インターネットバンキング、
②フリマアプリのような携帯アプリ
③動画視聴などの一定額の月額利用料を支払うサービスなど、
家族が知らないうちに契約して、家族の死角になっている財産が多く存在しています。
月額課金サービスなどは、契約した本人が亡くなった後も支払いが続いてしまうといった事態も起きています。
日常生活はどんどん便利になっていますが、相続の現場ではそれと背中合わせの不便さが見受けられるケースが増えているのです。

いざという時に戸惑わないで済むためには。

では、どうすればよいでしょうか?
私のおすすめは、《本人しかわからないことは「見える化」して整えておく》ということ。遺言は想いを「見える化」する仕組みなので、相続に備えて遺言書を作成することは、財産の存在や流れを「見える化」することになります。
誰に財産を引き継がせたいか、何を引き継がせたいか、どこまで引き継がせたいか。
これらを「見える化」するわけです。
IDやパスワードもまとめておけば、いざという時の備えになります。
ただし、遺言は法律に定められた様式を満たしていないと単なる紙切れになりますし、IDやパスワードも伝わらなければ意味がありません。
正しい方法で作成し、確実性を高めることが必要です。
さらに一歩進んで、一度仕組み化した後の定期的な見直し、いわば定期健康診断の遺言バージョンもおすすめです。
財産の状況は変化しますし、想いが変化することもよくあることだからです。
大切なのは、仕組みの鮮度を保つことです。
一度作って終わりではなく、アップデートする前提で仕組みを作ることが大切です。
生命保険の見直しのように遺言も見直して鮮度を保ちましょう。
その際お手伝いできる存在として司法書士がいます。
是非ご一緒に考えましょう。
あなたの人生をデザインするのはあなた自身です。

【福村雄一 プロフィール】

福村雄一 プロフィール

司法書士。1982年生まれ。神戸大学法学部卒。遺言、遺贈寄付、後見、民事信託、身元保証、死後事務委任、相続といった財産の管理、承継に関する業務を専門とする。「出会うことで人が動き出し、共に未来を変える」というクレドを掲げる東大阪プロジェクトの代表を務める。医療職・介護職との協働ネットワークを通じて、ビジネスによる地域課題解決に取り組んでいる。

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