妻を在宅介護しているけれど、私の持病が悪化。どうすればよいでしょうか?

ご質問者様
現在妻と二人暮らし。2年前に妻が脳梗塞で倒れ、自宅で介護しています。私も数年前から股関節に疾患を抱えており、最近その痛みが増してきました。そのため、妻を車椅子に移動させたりといった力の要るサポートがとても辛くなってきたのです。ホームヘルパーの利用もしていますが、それでも限界を感じており、このままでは介護するどころか自分の身体も心配です。この先、私はどうすれば良いのでしょうか?

回答

脳梗塞で倒れた奥様の介護をご自身でなさっていると、毎日ご苦労が耐えないこととお察しします。おむつ交換や着替え、体位変換、食事の世話といった、介護の全てを担っておられるのですね。ホームヘルパーなどの一時的なサポートを利用したとしても、介護は24時間365日継続されるものですので、ご質問者様の気が休まる暇は、正直言ってほとんどないのではないでしょうか。

初めて介護保険を利用する場合、ケアマネージャーや地域包括支援センターへの相談することから全てが始まります。ご質問者様のようにご病気がきっかけであれば、入院先の病院の退院窓口でも結構です。そこで初めて、現状を踏まえて具体的にどのようなサポートを受けられるのかがわかるのです。

しかし、年月と共に状況は変化します。ご質問者様の場合は持病も悪化し、心の余裕もなくなり、さぞかし不安でしょう。現在介護を受けている奥様だけでなく、自分の状況が変わった時も、どうぞケアマネージャーなどに相談してください。誰かの介護をしていると、つい自分のことを忘れがちです。最後まで自分が無理をして面倒を見るのではなく、借りられる力は借りて、二人が穏やかでいられる方法を見つけても良いのではないでしょうか。

中には、夫婦一緒に入ることができる施設もあります。自宅介護に限界を感じられるのであれば、そうした場所を検討してみるのもいいでしょう。
また、選択肢の一つとして、ご質問者様の病状によっては長期療養が可能な病院に揃って入院されることも可能です。

ここで、私どもの病院に入院されていたご夫婦のお話しを一例としてご紹介いたします。この方たちは、がんを患っている奥様を「老老介護」されていました。ご主人は、ご自身の年齢含め介護に限界を感じておられ、病気の治療をするためではなく、人生の最期まで夫婦揃って一緒に「生きる」場所として、お二人での入院を決断されました。
入院中、ご主人は献身的に奥様の病室を毎日のように訪れては、マッサージをしたり、話しかけたりなさっていました。残念ながら奥様は入院後しばらくして旅立たれてしまったのですが、それまでの時間を笑顔で一緒に過ごされ、とても幸せそうでした。
これがもし自宅であれば、奥様の介護を24時間担うご主人は介護に疲れきってしまい、最期には慈しみの気持ちさえ失っていたかもしれません。病院に頼ることで心にゆとりが生まれ、夫婦としての時間が増え、穏やかな最期を迎えることができたのです。

長期療養機能を持つ「療養病床」と呼ばれる病院は、積極的な治療は行いませんが、常に医師や看護師がいます。そのため、奥様のご病気が急変したときにも対応可能です。もちろんご質問者様のお体についてもご安心いただけると思います。このような選択肢もお持ちのうえで、お近くのケアマネージャーや地域包括支援センターの方とお話しされてみてはいかがでしょうか。

まとめ

介護の状況は一定ではなく、常に変化するもの。
自分には介護が必要ないと思わず、ケアマネージャーなどに相談を。
治療のためだけの入院ではなく、最期まで「生きる」ための場所選びを。
生活サポート部分を第三者に任せることで、心身のゆとりを生み出せる。

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