病による突然の介護。安住の地にどこを選ぶ?

他人事だと思っていた“介護”、その必要性は突然訪れます。急に病に倒れ入院し、要介護となる方も多くいらっしゃいます。運ばれた病院は療養ではなく治療をするための急性期病院。いずれその病院からは退院勧告を受け、自宅での介護生活が始まります。しかし、全ての人が自宅での介護が可能とは限りません。病状によっては医療の助けを借り続けなければならないことも。介護施設の選択肢は限られ、空きが無いことや、金銭面での折り合いが付かないなど、様々な問題に直面することがあるでしょう。
そこで、こういう状況に直面したときに、どのような介護施設の選択肢があるのかを考えてみたいと思います。

実質人気ナンバーワンは「特別養護老人ホーム」

要介護者が介護保険を利用して入所でき、ある程度の医療サービスが必要なとき候補に挙がる施設にまず、「特別養護老人ホーム(特養)」を検討されるでしょう。ここは要介護3以上で認知症にも対応しています。要介護度や所得などによって費用が変わるものの、年金生活の人でも入所可能なラインです。そのため人気も高く、地域によっては待機者がいて、すぐの入所が難しいのが現状です。

医師の診察が週1回では入居できない!?

人気の「特養」ですが、必要な医療によっては断られるケースもあります。それは、施設に医師と看護師が常駐していないことがあるからです。週に1回程度の診察でも十分と思われるかもしれません。しかし、薬が必要な高齢者の場合、病状によっては服用初日から3日間のあいだに様子が劇的に変化します。こうした様子を細かくチェックし、ときには薬をコントロールする必要もあるでしょう。そのためには十分なケアが可能な医療環境が必要なのです。

「老人保健施設」での安住は難しい。

そうは言っても、家族は余命を知っておきたいものです。大切な家族がいつまで生きることができるのか。少しでも長く生きるためにはどうすれば良いのか。生きている間に家族は何をしてあげられるのか。しかし、このようにポジティブな思いの方ばかりではありません。介護をする家族の中には、この毎日がいつまで続くのかを知りたい方も多くいらっしゃいます。私はこれを悪いこととは思いません。余命を知ることで、介護の終わりの目処が立ち、気持ちが落ち着くことがあるからです。こうしたケースでは、余命を知ることも選択肢の一つとして良いのかもしれません。

長期入院が可能な病院も安住の地の候補に。

医療と介護、その両方を必要とするときに「特養」も「老健」も検討材料とはなるものの、選択しきれずに介護難民となる人もたくさんおられます。こうならないために、知っておいてもらいたいのが「医療療養病床」を持つ病院の存在です。薬のコントロールや痛みの緩和など継続的な医療が必要な方であれば、長期入院も可能です。もちろん看取りもできます。

病とともに笑顔で過ごすために。

「病院」は、病とともに生きるには最も安心な場所でしょう。しかし、人間らしい生活を望んだときに抵抗を感じるかもしれません。無機質な病室に、排泄物のにおいなど、穏やかに暮らせるイメージを持たれないと思います。私たちの病院では、笑顔で過ごしていただくために、できるだけ自宅での生活に近い環境を心掛けています。安住の地を考えたときに、居住環境で検討するのも大切ですが、最期まで笑顔で過ごせる場所がどこなのかを考えてみてはいかがでしょうか。

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