「性格が悪い」と病院や施設から断られる?!

様々な理由でご家族が病院や介護施設に入る必要が出てきたときに、こんな心配をされている方の話をよく聞きます。
「性格が悪く、口も悪い。わがまま放題ですが、引き受けていただけるのでしょうか?」
そんなとき、私どもの病院では必ずお伝えします。
――何も心配されることはありませんよ。
しかし、この言葉を聞いたからといって、安堵の表情を浮かべられるご家族の方ばかりではありません。まわりの患者さんへの迷惑などを考えすぎて躊躇される方や、入院されても心配のあまり体調を崩される方もいらっしゃいます。でもそんな心配はご無用なのです。ぜひとも全ての方に安心していただき、私ども専門家を頼っていただきたいと思っています。

「性格が悪い」のではなく、心を閉ざしていることも。

過去に印象深かった患者さんを一例として挙げてみます。つい大声で嫌味を口にしてしまったり、まわりの患者さんに向かって悪口を言い放ったりする方がいらっしゃいました。この方はもともと姉御肌で気風の良い方でした。しかし高齢になるにつれて不都合なことを人のせいにしてしまうことが増え、次第に周囲から理解されなくなりました。そのことに苛立ち、荒々しくなることが増えていたようでした。この方は性格が悪かったのではなく、自分のことが「理解されない」ことで、周囲に心を閉ざされていただけだったのです。

高齢者の特徴と理解すれば、解決策は見つかるはず。

実は、周囲にとって理解しがたい行動をとること自体が、高齢者の特徴のひとつなのです。年齢とともに気持ちのコントロールがうまくいかなくなったり、自分の考えに固執し、周りの意見に耳を傾けられなくなったりする人がいます。こういうタイプの人たちには、好きなことや興味のあることを話題にするなど、寄り添ってあげてください。すると、「理解してもらえている」と安心し、自尊感情が高まり心を開いてくれるようになることが多いのです。

目に余る暴力行為は、必ず相談を。

もし入院や入所が必要な患者さんに暴力行為が認められる場合、施設によっては、規約や誓約書などの規定に則り退院や退所を迫られることもあります。しかし、こうした行為は認知症によるせん妄や、精神疾患を患っている可能性があるのです。これらの症状に対応している病院や施設であれば、投薬によって症状を抑えることや、専門知識のあるスタッフで対処できますが、そうでない場合はご本人の不安をあおり、かえって症状を悪化させてしまうことも考えられます。こういうケースは必ず病院やソーシャルワーカーに相談されることをお薦めします。

スタッフはプロフェッショナルです。

病院や施設のスタッフは、高齢者の特徴を理解しているプロフェッショナルです。家族の介護をしている方で、日々の生活や終わりのわからない今後について悩み苦しんでいるなら、遠慮せずまずは相談してみてください。きっと介護する側もされる側も、お互いにとって穏やかな生活を送るためのヒントが得られることでしょう。大切なのは、家族だけで抱え込まないこと。医療や専門家の力をどんどん借りていくことだと思います。

でも疑問に感じたらご相談を、

実際に入院や入所をした後、「思っていたのと違う」というお声をいただくことがあります。一般的には病院や施設のパンフレットには「個別性を重視して」や「あたたかく見守り」「安全に」等の文言が並びます。もちろんそれは嘘ではありません。職員一人一人が大切に心にとめていることでもあるのです。ただ、限られた設備、限られた時間、限られたマンパワーの中で、すべての患者さんに満足いただけるのはなかなか難しいことなのです。病院や施設で希望がすべて叶うわけではないということは理解しておかなくてはいけません。例えば、歩行中に転倒された患者さんについて、そのご家族は「見てくれてなかったの?」と思われているかもしれません。もちろん、見守りはその方にとって重要なケアのひとつなのですが24時間離れずに見守ることは極めて困難なのです。また、ことば遣いや態度については、患者さん、ご家族、職員で各々捉え方や感じ方が違います。職員が親しみを込めてかけた言葉が、患者さんやご家族には「馴れ馴れしい」と感じられることもあるのです。そのことで誤解を招き信頼を損なう結果になります。
もし「パンフレットにはこう書いているのに」「該当する病院や施設はこうあるべき」と思われることがありましたら、スタッフと十分に話し合いの時間を持ち、出来ること、出来ないことの確認をしていきましょう。どうしても解決策が見つからない場合は思い切って他の病院や施設に移ることも選択肢となります。場合によっては病院から退院を勧められることもありますが、不満を持ちながらでいるよりは思い切って環境をかえてみることが良い結果に結びつくことが多いものです。

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